センターサークルのその向こう-サッカー小説-

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サッカーコラム

和田アキ子さん、中田英寿という人を知っていますか?

いつも、なるべく言葉を選んでアツくなりすぎないよう冷静に書いているつもりの僕ですが、今日はちょっとそういうタガが外れてしまうかもしれません。お見苦しい文章になるかもしれませんので、もし不快になられてもご容赦ください。

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アッコにおまかせ。
言わずと知れた日曜昼食時にやっている芸能界のご意見版・和田アキ子がメインパーソナリティーを務めるバラエティー番組。先日の放送を外でチラリと見て耳を疑い、後日ネットで確認。やはり、事実だったようだ。信じられない彼女の発言は。ブラジル戦後10分近くピッチに倒れたままだった中田英について。


「あんなとこでわざわざ泣く必要ない」
「控え室(ロッカールーム)で泣けばいいじゃん」
「なにもそこまで泣くほどのことでもないでしょ」
「そんなに悔しいか?そこまで悔しい?」
「クロアチア戦が終わって分かってた結果でしょ?」

※実際に録画していたわけではないので、一字一句正しいわけではありません。

こういう人を、想像力の乏しい人と言うのでしょうね。
以前から僕なりの経験でココに書いてきた事の一つに「人に優しく接するためには、相手のありとあらゆる可能性に想像を張り巡らさなければならない」とありますが、まさしくこの発言をしている彼女にはそれが欠如しているとしか僕には思えません。

ココを定期的にご覧になっている方は、僕がある種の中田批判をしているのを見ているかもしれませんが、僕は紛れも無く彼の一ファンであるし「中田英はかつての姿を失ってしまった」というのは、もちろん彼のことを地球に立つ一人のサッカーファンとして敬愛し、成功を祈るからこその分析であり、僕にとって中田英寿という人は間違いなく憧れのヒーローの一人です。

中田英が、どんな気持ちであのピッチに立っていたのか、どんな強い想いを抱いてこのW杯を向かえたのか。そんなこともこの和田アキ子という人にはわからないんだろうか。サッカーを知らない人なのはわかっている。別に専門的で的を射た発言なんて求めていない。けれども、彼女のこの発言はやはり「無知という罪」そのものであるし、恥じるべき発言だと僕は思う。

和田アキ子さん、アナタは中田英寿という人を知っていますか?
中田英寿という人がどれほど日本代表を愛し、尽くしてきたか知っていますか?


アナタは知らないでしょう。
中田英寿という人がどれだけ偉大な人物かを。たった20歳の青年が、日本中の期待を一身に背負い、日本代表の司令塔として僕らに目の覚めるようなスーパープレーを披露し、全国民の期待が全て攻撃へと変換されてしまうような絶望の最中、それでも彼は自分のプレーを見失わず最後まで日本代表の司令塔だった。そして中田英寿は僕達を初のW杯へ導いてくれた。それ以前の偉大な先駆者達の、誰も成しえなかった偉業を成し遂げた。本戦出場後も、中田は最後まで自分のプレーを発揮し、僕達に一筋の光を与えてくれた。

アナタは知っていますか?
当時の日本サッカー界にとって、セリエAという舞台がどれだけ大それた舞台か。アナタはきっと知らないでしょうね、ユベントスというクラブがどれほどの歴史と権威を持つ偉大なクラブなのかを。中田英寿という、サッカー弱小国である極東の島国から来たたった21歳の青年が、デビュー戦で2ゴールをあげるということがどれほどの離れ業なのか、きっとわからないでしょうね。

スクデットという言葉を知っていますか。
当時のASローマ。トッティ、エメルソン、カフー、デルベッキオ、モンテッラ、バティストゥータ、トンマージ・・・・。世界のどこに出しても恥ずかしくない陣容を揃え、ASローマは本気でスクデット獲得に走り、そして見事その栄冠を手にしました。その一員として、スクデットを獲得するための豪華陣容にふさわしい選手として、W杯で一度も勝ち点を獲った事の無い国の選手を選ぶことがどれだけ異常なことか、アナタにはわからないでしょうね。

中田英寿は世界を相手に常に戦い続け、たった一人で欧州の場に乗り込み、世界にその名を売ることで日本サッカーの未来を切り開いてくれた。一サッカーファンとして彼には感謝してもしきれない。同時に、彼を育てた、彼に関わった全ての人にも感謝をしたい。誰もが認めるだろう。中田英寿こそ、世界における日本サッカーの第一人者であると。

その中田英寿が、自身29歳で迎えるW杯にどのような想いを抱いていたのか。チームに檄を飛ばし、汗をかきながらピッチを走り回り、試合後は立てないほど肉体を酷使した。アナタにはそれがどれほどの重く、強い想いだったのかを想像する力も無いのですか。

中田英寿は、絶対に弱音を吐く男ではない。
そう簡単に心が折れるような柔な選手でもない。
僕達にいくつもの希望を与えてくれたヒデが、そんな柔な選手なわけがない。

「中田もこんなトコで泣かんでもええと思わへん!?」
違うよ。アナタは本当に何もわかっていないよ。
あの、どんなに辛いときも、たった一人で欧州に乗り込んだときも、スタメンを外されても、どんな大会で負けたときも、弱音を吐かず弱い部分を見せてこなかったヒデが、ピッチの真ん中で涙を流した。どんなに荒いタックルを受けても、どんなに激しいチャージを受けてもピッチにひれ伏すことの無かった、絶大な力を持つ巨人達にその日本人と言う名の小さな体で勇猛果敢に挑み、決して屈することの無かったヒデが、ピッチに倒れた。


"あの中田英寿が"ピッチに倒れて涙を流したんだよ。

どれほど辛かったろう。
どれほどの強い想いを抱いて、このピッチに立っていたのか。
あの中田英寿が、涙を流している。
ブラウン管に映るヒデを見て、僕も涙してしまった。

和田アキ子さん。
アナタが中田英寿の事をどう言おうと自由だよ。
誰もそれは止められない。中田が嫌いならそれも仕方ない。
けれども、国民の期待を一身に背負い、常にマスコミの矢面にさらされながら、代表デビューから10年を戦ってきたヒーローに対する発言として、少なからず国民に影響力を持つアナタの発言として、とても品位に欠ける発言だと僕は思う。

和田アキ子さん。
アナタはきっとすごい人なんだと僕は思うよ。
何かを成した人でなければ今の位置にはいけないもの。
でも、アナタが中田英寿にどのような感情を持とうが自由なように、僕だってアナタに対する評価は自由だ。僕は、アナタがどんな大きな舞台で唄を歌おうが、今後一切耳を傾けるつもりは無いし、偉大な歌手だとも思わない。どんな素晴らしい発言をしても、僕はそれに感心することは絶対に無いし、アナタを人間として成熟した人だとも思わない。TVの中で、涙を流しながら唄をうたっていても、惨めだとしか思わないよ。

和田アキ子さん。
アナタにそっくりそのまま言葉を返すよ。
「そんなこと、楽屋で言えばよかったんじゃないの?」


そして中田英寿、ヒデにはこの人の言葉こそ伝えてあげたい。
僕はそう思う。


名波「彼がどれほどの功績を残したのか、近くで見た若い選手たちは忘れちゃいけない。センターサークルに一人で座っていたヒデのところに、俺は行きたかった。行って、ヒデ、もう一度W杯をやってくれよ、と声を掛けたかった。彼に失礼だと思うが、本当によくやった、と言いたい。」


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