センターサークルのその向こう-サッカー小説-

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サッカー小説

第5話。

当初こそサッカーに情熱を燃やす林原は松ノ瀬中のような「弱小校」に通うのを嫌っていたが、通うにつれ次第に文句を言わなくなったと親御さんから後に大湊は聞いている。ともにボールを追い掛けるうちに、仲間の「素材」に気付いたのかもしれない。

FWには右にチーム一の俊足ストライカー 柳橋 明に、センターでの立ち回りがうまい高橋 公樹、フィジカルは無いがパスと裏への飛び出しが持ち味の佐村 和隆がいたが、どの選手も一定の水準は保っている。

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一定以上の水準を保った選手に加えGK山井や、関井 川崎 有馬の市選抜トリオ、県選抜林原という地域の中学にしてはハイレベルな選手が集まった背景には、その年の同世代の子にもっと優れた選手がいたというのが実情だった。

吸い付くようなボールコントロールと瞬発力を活かしたドリブルに、パスセンスもこの歳から備え始めた小学生とは思えないプレーを疲労していたナショナルトレセンのMF吉沢 智喜。 その吉沢と切磋琢磨するように育ったオールマイティーなボランチ原山 慎太郎。
抜群のスピードとテクニックでDFラインを掻き乱しゴールを量産するFW楢山 洋二。

このナショナルトレセンの三人に加え地域トレセンの選手も湘南地区には何人かいたうえ川崎、有馬はそれぞれ吉沢、原山と同じサッカークラブに所属していた。市選抜の川崎がテクニシャンとして充分に胸をはれる技術を持ちながら、運動量を身につける選択をしたのは、同じスタイルではどうしても打ち負かすことの出来ない吉沢がいた故であり、有馬が左足に固執しその一本でアクセントをつける意識を持ったのも、チーム内の1対1において原山が相手では断続的な活躍はさせてもらえないと考えた結果だった。

そう、彼等は市選抜という輝かしい経歴を持ちながら、所属していたチームのエースではなかったのだ。


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