センターサークルのその向こう-サッカー小説-

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サッカーコラム

高校サッカー選手権も終わったので、過去20大会を振り返ってみるよ-その5-

高校サッカーの過去20大会振りかえってます。

その4はこちら。「高校サッカー選手権も終わったので、過去20大会を振り返ってみるよ-その4-

第91回(2012年度)【応援マネージャー:大野いと】

大会の中で注目を浴びたのは京都橘であろう。
つい2大会前に準優勝したばかりの久御山は京都代表である。その同じ京都から別の高校がたった2回目の出場でこれまた決勝まで進んでしまうのだから、高校サッカーはやはり戦国時代なのである。

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その中で選手として注目するのならばやはり仙頭(後に東洋大)、小屋松(後に名古屋)の強力ツートップだろう。二人ともにスピードとテクニック、そして得点感覚に優れ、一人でも相手校には脅威であるというのにそれが二人いてコンビネーションで崩してくるというのだから相手DFにしてみればたまったものではない。

単体のFWならばこれまでにいくらでも良い選手はいただろう。彼らより優れたインパクトのある超高校級ストライカーは北嶋、平山、大迫、大前、和泉などなど、ポンポンと名前が出てくる。ただ、こと「ツートップ」とした場合、もしかすると彼らが高校サッカー史上最強なのではないかと思ってしまう。それほどにバランスが良く、コンビネーションに優れていた。各々タイプは違うが、チリの「サ・サコンビ」を彷彿とさせる。

さて、今大会ではもう一人触れておきたい選手がいる。
これを機にぜひ注目してほしい選手だ。
この大会は中村俊輔以来、久々に我が地元の神奈川県代表がベスト4に勝ち進んだ大会である。中村俊輔以来と書いたがそのとおり、勝ち進んだ高校は同じ桐光学園である。ここまで書けばもう注目する選手というのもおわかりかと思う。そう、桐光学園の10番である。

前述の通り、桐光学園は毎年10番に良い選手を据えてくる。もちろんそれがアンダー日本代表クラスではないこともある。この高校サッカー戦国時代に、さらにクラブユースに優秀な選手が流れているこのご時世に、そうそう毎回日本代表クラスが出てくるはずもない。

ただ、それでもある一定のクオリティを持ったファンタジスタを輩出する、それが桐光学園である。たとえばそれは立命館で10番を背負い、現在はギラヴァンツ北九州に所属する内藤洋平であったり、先日まで専修大の10番をつけていた佐野弘樹であったりするわけだが、その中でも今大会の桐光学園10番を背負った松井修平は、中村俊輔の流れを組む正当血統である

この大会の桐光学園はU18の諸石健太、2年生時から活躍する切れ味鋭いサイドドリブラー橋本裕貴、関東プリンスリーグ1部得点王を獲得した野路貴之と、要所要所にタレントを擁するチームであったが、その心臓となり天才的なパスセンスでゲームを組み立てたのがセントラルMFの松井修平である。(ちなみに浅野拓磨を含め、前回大会準優勝メンバーを多く抱えた四日市中央工は初戦敗退するのだが、その初戦の相手がこの桐光学園である。それだけでもその強さがわかるだろう)

線は細い。
これは非常に細い。見ていて心配になるほどだ。
しかし戦術眼、テクニックは一級品。なかでもパスセンスは超一流である。
フィジカルは強くないが、そもそもロングキープするタイプでも、ドリブル突破で勝負するタイプでもない。中盤でリズムコントローラーとなり、ボールの出し入れでゲームをコントロールし、そのパス交換でスペースをつくりそして突くタイプである。そういう意味では中村俊輔よりも遠藤保仁に近いタイプなのだが、本人はそのどちらでもなく実は中村憲剛に憧れていたというのだから、めぐりあわせとは面白いものである(川崎FのU15出身であるからそうなったのだそうだ)。

現在は同志社大に進み、3年生の時点ですでに10番をつけているようだ。さすが、桐光学園の10番といったところか。

さて、彼が今後どうなるかであるが、もちろんプロ入りを期待している。ただ、やはりフィジカルに難がある。それを大学でどう克服しているのか、大変気になるところだ。筋力トレーニングによってフィジカルを身に着けたのか、それらは必要最低限にとどめ、ポジショニングやシンキングスピードに磨きをかけたのか。個人的には、遠藤保仁のように頭脳とテクニックで勝負するタイプだと思っているのだが、果たして・・・?

いずれにせよ、ここ数年では随一のパスセンスの持ち主だと思っている。彼はそれほどに美しいパスを出す。

日本サッカーのボランチやセントラルMFといえば激戦区であるが、しかし黄金世代ではあふれ返っていたプレーメーカータイプが、現代表では実はそれほど層が厚くない。それはU23にもA代表にも言える。その現状を打開するのは、もしかすると柴崎でも柏木でもなく、松井修平かもしれない。
ぜひ注目してほしい。
というわけで、松井のパスセンスが良く分かる動画を貼りつけておく。


第92回(2013年度)【応援マネージャー:松井愛莉】

はいごめんなさい。
あまり強い記憶にない大会その3です。
たかだか2年前だというのに・・・。
いや、もちろん全く記憶が無いわけではないが、これまでのようにピックアップするほどに覚えている選手がいない・・・。小屋松は覚えているがもう触れているし。

特定の選手に強い記憶はないが、チーム単位で言えばやはり富山第一だろう
柳沢(後に鹿島)の母校として名高い富山県の超名門であるが、この大会でやっと初優勝をすることになる。中でも話題になったのは監督と主将である大塚親子だろう。
スポーツを親子とか兄弟とかの感動秘話にするのはあまり好きではないのだが、こと高校サッカーにおいては(というより学生スポーツ全般が)致し方ないのかなと思う面もある。そういうストーリーがほぼすべての選手にあると言ってもいいぐらいだから。

さて、この大会の富山第一はその親子鷹の話だけではなく、決勝戦の対戦相手があの星稜だったことも「北陸対決」として話題になった。ちなみに星稜はこの決勝で敗れたことを糧にしてなのか、次の大会で初優勝をすることになる。

その決勝後、富山第一の大塚監督はこのような趣旨の発言をしている。

「ほとんど富山出身の選手でここまでやれたのは、日本の育成も変わってくるんじゃないかなと思います」

ちょっとこれには違和感がある。
というのも、いまの高校サッカーにそれほど県外、日本全国から優秀な選手をスカウトしてきている高校が多いとは思えないからだ。いや、無いことは無い。現在だと青森山田などはいまでも全国から選手が集まっている。ただ、いまの高校サッカーの情勢、日本全体の景気をみれば、それほど遠くから選手が獲得できるものではないと思っている。そこまでして遠くの強豪校に行かずとも、同じ県内にじゅうぶん全国で戦える高校があるからだ。

帝京や国見が選手権に出られない時代である。仮に頑張って越境して昔ながらの超名門校に入ったところで、選手権に出れる保証はないのだ。どこの強豪校に行こうとも、そこには同レベルのライバル校がいてしのぎを削っている。ならば、「絶対ではないのなら地元の強豪校に入る」というのが自然な流れであり、だから昨今はそれほどスカウトによる越境入学は以前ほど盛んではないんではないかと思っている。手元に統計データもないあくまで個人的な推測の域を出ない話ではあるが、実態もそう変わらないんじゃないかと思っている。

そして、そういう意味では毎年のように出場校が変わる都道府県(の代表)の方が、事情は苦しいはずだ。たとえば我が地元の桐光学園はいまでこそ県内最多出場となったが、それも今年(2015年度)の大会でやっとである。その前は桐蔭学園という横綱がおり、それ以外には日大藤沢、向上、三浦学苑など、強豪校がひしめいている。むしろ桐光学園は神奈川の競合としては中村俊輔がいた95年度の県代表が初出場で(準優勝するのはその翌年)どちらかというと新興勢力の方である。もともとの強豪だった桐蔭などの全国レベルのなかに割って入って、現在ではそのトップに立つというのは本当にすごいことだと思うが、つまり、それだけ強豪校がいるということは、優秀な選手の進路が割れるということである。

それに比べると富山第一はあの市立船橋を超える26回(2016年1月現在)の出場を誇る超常連校である。富山県全域から選手が集まることを考えれば、複数の強豪校がいる他県よりは選手は集まりやすいのではないかと思う。

いや、だから富山第一が恵まれている、だから県内の選手のみで戦ったことを誇るべきではないということではない。ただ、メンバーの多くを県内の選手で構成するのは現在の高校サッカーでは割と普通のことであり、ことさらにいま強調することではないと思うのだ(無論、対戦相手の星稜よりはその割合が強いのは間違いないが)。

その「割と普通」になった流れのなかで、願わくば、各都道府県の個性みたいなものが出てくると観ている方としては楽しいのだが、そういう時代は来るのだろうか?

また、この大会で絶対に触れておかねばならないことがある。
この大会が、国立競技場を使った最後の大会だったのである。
ちなみに前述の応援リーダーにKINGカズが選ばれたのは、国立の最後を飾るにふさわしいと思ったから、だそうな(それでもやっぱりいまいちよくわからんが)。

基本的にサッカーというのは陸上トラックのない専用スタジアムで観るべきである。いや、観るべきってのは言い過ぎだが、もしこれから初めてサッカー観戦に行くという人がいたら、ぜひ専用スタジアムに行ってほしい。臨場感が全然違うのだ。そういう意味では、埼玉スタジアムは国内有数のスタジアムであり、あれは国外にも自慢して良いシロモノだと思う。あの転んだらそのままピッチまで放り出されるんじゃないかという急な斜面の座席からの観戦は非常に心躍る(逆に日産スタジアムはクソだ。なんだあれは。一階席の少し奥に座ると二階席の屋根のおかげで高く上がったボールが見えなくなる。しまいにゃ座席上につけられたモニターの方が良く見えるという始末。設計したのマジで誰だ。シバキ倒したい)。
あと他にはニッパツ三ツ沢球技場も素晴らしい。10年くらい前に天皇杯を観に行ったとき、ドラゴン久保が審判に怒られて「すいません」って言ってたのが聞こえたことがある。素晴らしい。

と、スタジアムの話になってしまったが、実は国立競技場は陸上トラックがある。いや、東京オリンピックのためにつくったのだから当たり前だが。だがしかし、これがなぜかそれほど見づらくない。いやむしろ見やすい。なぜだかはわからないし、無論トラックがなければもっと見やすいのだろう。しかし、トラックがあっても見やすいのだ。なぜだろう。

そして、やはりあのスタジアムには独特の雰囲気があった。「国立は特別」とプロ選手が口をそろえて言うように、観るほうからしてもあのスタジアムは特別な雰囲気がある。すべてにおいて古いはずなのだが、その古さが歴史を醸し出しつつ、決して最新鋭のスタジアムに劣らない魅力がある。

ゆえに、増改築ではなく立て直しになってしまったことを大変残念に思うし、あそこで高校生を戦わせてあげられないのはとても切ない(ってお前は誰なんだという話だが)。新しい国立競技場の話は大問題になっているが、なんとか、新しいシンボルとして活躍してくれることを祈っている。

第93回(2014年度)【応援マネージャー:広瀬すず】

前述の通り、準決勝・決勝の舞台が国立から埼玉スタジアムに移転した初の大会である。マスコミは、というより日テレはそれを「蹴都移転」というキャッチコピーをつけたり、ポスターには「君が立つそこが聖地」とつけることで盛り上げようとしていた。まあ、どう考えても無理だろうと思うが、サッカーを盛り上げるために必死にやってくれていると考えれば我々サッカーファンはそれをニコニコと見逃しておくのが嗜みというものだろうと、思っている。

今大会もっとも印象に残った選手といえば田場ディエゴ(後に国士舘大)になるだろうか。選手の均一化が進む高校サッカーにおいて久しぶりにみた「個性派」だ。だからといって決して基礎技術が低いわけではないのが彼の素晴らしいところなのだが、もうとにかくそのドリブルである。サッカーをやっているときもやってないときもそれぞれ別の意味で愛されるアルゼンチンの英雄からとったというその名前に決して恥じないボールさばき、アタッキングエリアでの驚異的なドリブル、やはり個性派である。

実はこの田場ディエゴは、県予選時はスタメンではなかった。プレースタイルやメンタルを問題視した監督が、10番を与えているにもかかわらずスタメンから外しスーパーサブとして据えられていたのだ。しかし、県予選における自らのプレーでその流れを変え、監督の信頼を勝ち取り、全国大会では押しも押されもせぬ日大藤沢のエースとしてベスト4まで行くことになる。その流れが変わる潮目となったのが県予選のベスト16(ベスト8をかけた試合)だった。

神奈川県の代表といえばここでこれまで何度も出してきた桐光学園が横綱的存在であるが(そして桐光学園はこの翌年にはまた県代表に返り咲くのである)、その桐光学園がなんと初戦のベスト16で姿を消すことになる。その相手が日大藤沢であり、その決勝点をとったのが、スーパーサブとしてピッチに送り出されたこの田場ディエゴだ。

結局彼は最終的に前回大会の雪辱をはらして優勝することになる星稜にベスト4で敗れ大会を去ることになるのだが、現在1年生ながらにして全日本大学選抜の最終選考まで残ったようだ。残念ながら本メンバーにもバックアップメンバーにも残れなかったようだが、それでも大変なことである。ほんの1年半前までは高校サッカーのスタメンすら危うかった選手が、こうなっているのだから、高校サッカーは面白い。

また、これは全国大会で活躍するということ、サッカー関係者の目に留まる、知名度があがるということがどれだけ重要なことかということも示唆している。若手時代無名だったにも関わらず日本代表まで上り詰めた選手など枚挙に暇がないわけだが、裏を返せば彼らのほとんどには無名だったころでもそれなりの力はあったはずで、サッカー人生を考えるときにやはり大きな舞台で、注目が集まる舞台で活躍することは人生が大きく変わる非常に重要なことなのだろう。

さて、この大会はもう一つ語っておきたいことがある。
実はこの大会からひっそりと「交代選手の人数上限」が変わっている。
つまり1試合で交代できる人数が増えた、ということだ。もとはプロと同様に3名までだったのだがこの大会から4名に変更されている。おそらく賛否ある変更だと思うが、個人的にはこれは理に適った良い変更だったと思っている。

ポイントはいくつかあるが、一番わかりやすいのは出場できる選手が増えることだろう。上記の通り、この大会に出られるか出られないか、そこで1点でも得点を取れるかどうかで人生が変わる大きな舞台である。たとえ全国区で名前が売れなかったとしても、この大会で得点をしたという経験は一生ついてくる、称えられる結果である。

高校サッカーとは、文字通りプロではない。プロになるための育成だけの場、ということではない。もとい、そもそも「高校」サッカーである。本分は勉学、教育にあり、10代の多感な時期を過ごす「高校」という場所においては、サッカーだけがうまくてもしょうがないし、周りの大人のすべてが彼ら高校生に対して「社会の先駆者」として「教育者」として接さねばならない、そういう性質を持った場である。

何が言いたいかというと、高校サッカー選手権大会に出場する選手は全員がプロや社会人サッカーに進むわけではない。いや、おそらく大半はここでサッカーを終える者たちだろう。そのとき、重要なのはこの舞台が決して「サッカーがうまくなるためだけの舞台にならないこと」である。ある選手がこの大会に出たことによって人生のその後の糧になることはいくらでもある。
そうしたとき、やはり一人でも多く、それがたとえ5分であろうとも、多くの観客が見る、いや、見守ってくれる舞台に立てる10代の子を増やせるというのはとても有意義だと思うのだ。

また、他のポイントをあげるならば、これも彼らがまだ「10代の選手である」ということが起点になるわけだが、まだ彼らは身体未発達、身体ができきっていない。ちょっとしたプレーで選手生命を失ってしまうこともある。この年代において最も重要なのはきちんと基礎技術、メンタル、そして身体を育むことであり、あくまでもそのために勝利があるのであって、時には敗北だって必要なことを考えれば、勝利はあくまで(重要でありながら)一つの手段でしかないのである

もし、3人の交代枠を使い切ってしまったあとに、一人の選手が怪我をしてしまったら。いや、大きな怪我でも、そのあと治療をすれば治る怪我ならまだいい。ピッチを退いて仲間10人で戦えば、その選手はまたサッカーに戻ってこれるだろう。しかし、高校生活のすべてをかけてきた彼らが、ギリギリのギリギリまで体力を使い果たし、さらにそれを超えて走ってしまったら、その先には命の危険だってある。命は守れたとしても、障害が残る結末になることだってじゅうぶんにある。

サッカーにタオルを投げいれるルールは無い。そのとき、彼らを守ってやれるのはベンチにいる監督、コーチなのである。そのとき、ベンチにもう一人交代できる権利があれば、親心にも近いものを持つ監督やコーチなら、危険を感じて交代を、きっとその決断をしてくれるだろう。そしてこれは、前述の通りサッカーの話だけではないのである。その後の、サッカーではない普通の人生を送ることになる多くの高校生にも関わる重要な話なのだ。

こういう話になると、じゃあ5人なら、6人なら、7人ならどうなんだという話になり、その人数のどれが適切なのかはたぶん誰にもわからないが、少なくとも1人でも増やすことに、僕はとても大きな意義があると思っているのだ。

第94回(2015年度)【応援マネージャー:永野芽郁】

さて、やっとここまできた。
ついこの前終わった、いわゆる「今大会」である。
記憶が新しいだけにいろいろと語りたいところはあるのだが、それぞれサラッと触れてみようか。最後にどうしても語りたい話があるから。

今大会、面白いなと思ったのは野洲vs聖和学園。
どちらも「セクシーフットボール」を体現する高校であり、多くがあの選手権初優勝を飾った伝説の野洲を生み出した本丸と言われる「セゾンFC」の出身だったのも興味深い。さらに結果が7-1で聖和学園が勝利するという大量得点差での終わりだったのだから、これまた面白い。

だがその聖和学園は続く2回戦で青森山田にこれまた5-0とコテンパンにやられてしまうのだ。力が均衡して久しい高校サッカーでこれほどまでに「強さのヒエラルキー」のようなものを見せられたのは久しぶりだった。

ときに、実は青森山田と聖和学園の対決は観戦していたのだが、これはもう手も足も出ないという感じだったのは言うまでもなく、聖和学園の「ドリブル王国」というところに引っかかった。あまりサッカーに詳しくない人なら、どこでもドリブルをしかけ、くるくるまわる「上手い選手」は見ていて楽しいのかもしれないが、個人的にはあれはもはやサッカーではないとすら思ってしまった。青森山田の方がよほどサッカーをやっているように見える。

どこでもかんでもドリブルを仕掛けることがスペクタクルなサッカーになるわけではない。少なくとも、全国制覇を達成した頃の伝説の野洲高校はそんなサッカーではなかった。ピッチのすべてに才能ある選手が集まり、同じ絵を描き、勝負するか否か迷う場面でも果敢にチャレンジするからこその「セクシーフットボール」であり、自陣からすべてボールをこねることがセクシーなはずもない。

だがしかし、その血を受け継いでいるはずの野洲高校が大敗するというのだから、不思議なものである。(というより、単純に同じような質のサッカーだったので、選手個人のスキルが如実に出ただけなのだろうと思うが)

さて、その青森山田は3回戦でかの桐光学園とあたることになる。
この試合で、青森山田はほぼ90分押し込まれる。そう、桐光学園は7-1で勝ち上がってきた聖和学園をさらに5-0で打ちのめした青森学園を、さらにその上をいく攻撃で押し込んだのである。結末は多くの人がご存じの通り、なんとアディショナルタイムで2点を追いつかれ、PKで桐光学園が敗北するというなんともドラマチックな展開になった。

はい、これこそ語りたいことである。
今年の桐光は、その青森山田を圧倒するほどに強かった。常に適確な状況判断を下す驚異的な冷静さを持った10番:鳥海、そして破壊力ある攻撃を展開する両サイド、とくに柔らかいタッチと独特のリズムで敵を交わすイサカ・ゼイン。その後ろ、サイドバックから適確なオーバーラップと確かな技術を披露するタビナス・ジェファーソン。

桐光学園は、実は組織サッカーのチームである。良い選手をそろえてはいるものの、毎年きっちり守備組織から作り上げるタイプのチームであり、そういう意味では質が安定している。今年は各所にタレントをそろえながら自慢の組織プレーで守備も攻撃もこなすわけなのだから、弱いはずが無いのだが、そう、これに「超高校級」が入るのだから、そりゃ強い。

小川航基は紛れもなく久々に現れた「超高校級」だった。
神奈川県決勝からすべての試合を観戦したが、あれはとんでもない。
ここ数年、J内定やU18という金看板を背負った選手は毎回出て来ていたが、失礼を承知で言えば「この中では上手い子」という印象がぬぐえなかった。あの浅野拓磨も見ていたが、それほどのインパクトは感じなかった。確かに良い選手だし、プロでの活躍が楽しみではあったが「高校生の中で超一流」という感覚だった。これは浅野拓磨だけではない、MFにしてもFWにしても、チーム戦術の中に居場所があり、あくまでも一つの駒として、大駒として順応しながら質の高いプレーを見せる、というのがここ数年の「金看板の彼ら」だったように思う。

そんなとき、今年になって現れたのが小川航基である。
小川はあきらかに次元が違う。
いや、過去を遡ればもちろん平山や大迫ほどのインパクトはないかもしれない。しかし、ここ数年現れることのなかった「超高校級」であることは間違いない。長身をいかしたポストや競り合いはもちろん、ボールをおさめるテクニック、イマジネーション、一瞬のスピード、当たられても屈しないフィジカル、そしてシュートセンス。
青森山田で魅せた2得点はどちらも素晴らしいゴールだった。

1点目のあれはとんでもない。
パスが流れたかな思ったが、あのランニングからあの角度のないところを、腰を振り切って反対側へボールを打ち込むフィジカル、センスはそうそうお目にかかれるものではない。
これだけならまだ「身体能力とセンスに優れたFW」で終わるのだが、そうではないところに小川の魅力がある。それは2点目。ふわりとしたクロスボールに対して「思ったよりちょっとふわりと高めに来たから」と思ったらしく、ヘディングで強くたたくのではなく、後ろにジャンプしてボールを頭で迎えに行く方に切り替えたらしい。
この得点への嗅覚、泥臭さ、これを兼ね備えていることが、小川の最大の魅力であり、その点においては高校時代の大迫を凌駕するバランスの良さだと思っている

これは、もしかするともしかするかもしれない、と思っている。
リオ五輪である。
可能性はとてつもなく低いが、もしかするとジュビロで大活躍し、リオ五輪本大会に彼が選ばれるのではないかと、その可能性はゼロではないと踏んでいる。

皆さんもぜひ注目してほしい。

まとめ

というわけで、20大会を振り返ってみました。
・・・とくに書くことが無いw

これを読んでくれた人、本当にありがとう。
高校サッカーは本当に面白いです。もちろんプロも面白いけど。
ぜひ、みんなサッカー大好きになってくれるとうれしいんだな。。

ではでは、またどこかで会いましょう。


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