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コラム

神奈川県の人、世界が狭い問題

ごぞんじかんどーさんがこんなエントリを書いていた。

ああ、ちがうちがう、そうじゃ、そうじゃないⒸ鈴木雅之

何を隠そう、僕は生まれも育ちも神奈川県という生粋の神奈川県民である。そして、20代前半に九州のだいぶ田舎の方にも数年間住んでいてことがあり、神奈川に戻って来たという、ある意味では「神奈川を内からも外からも見た最も神奈川のことがわかる人種」である。(ちなみに1979年生まれの現在36歳のオッサン。小中高すべて神奈川。実家も神奈川。現住まいも神奈川)

そんな僕から、かんどーさんの「神奈川県の人がなぜ神奈川が好きな率が高いのか」のアンサーを書きたいと思う(全編通して批判記事ではないです)。

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さて、まずさきに答えを書いてしまおう。神奈川県の人は他県民にくらべてとりわけ神奈川のことが好きなわけではない。もちろん嫌いではなく、好きな方に入るとは思うが、しかし他県民と比べて地元愛が強いかというとそんなことはない。

神奈川県の人は、世界が狭いのだ。

いや、ちょっと待ってほしい。いま画面の向こうでこれを見ている神奈川県民の貴方。怒らないでほしい。読み終わるころにはきっと「そうそう、そうだよね」と納得しているから。

神奈川県の人、自県意識が最も低い問題

事のすべてはほとんどこれが発端なのだが、神奈川県民という人種は自県意識が著しく低い。よく、横浜市民に対して「どこに住んでるの?」と聞くと、神奈川と答えず「横浜」と答えるというが、あれは実は横浜市民だけではない。神奈川県内のほとんどの地域は、県ではなく市区町村を答える。鎌倉、横須賀、川崎、武蔵小杉は言わずもがな、藤沢や平塚に住んでいる奴は「湘南」と答える。ちなみに茅ヶ崎市民は湘南とは答えない。彼らはすでに「我らサザンの地、茅ヶ崎」と思っているので、わざわざ湘南ブランドにすがらなくても「茅ヶ崎」でじゅうぶんだと思っている。

これは、たとえば横浜、鎌倉ならば全国区の地名なので「県を言うよりも市を答えたほうが早い」というのがもちろんあるのだが、実はそれだけではない。というよりそっちじゃない問題の方が大きい。神奈川県の人は、自分のことを神奈川県民だと強く思っていないのだ。たぶん、埼玉や千葉の人は、自分がどこの人かと考えたとき市区町村より先に「自分は千葉の人間である」という意識が強いんじゃないかと思う。

そんなことない、というかもしれないが、神奈川県民の意識はその比じゃないぐらい薄いのだ。近くにいる神奈川出身の人に聞いてみてほしい。

「もしかして、ちょっとだけ自分が神奈川県の人だっていうことに違和感がある?」

こう聞くと、たぶん多くの神奈川県出身者は「ああ、そうそう」と答えると思う。神奈川県というより、自身のことを横浜や横須賀、逗子の人だと思っている。全国的に知名度の低い藤沢や厚木ですらそうだろう。だから「神奈川の人でしょ?」と言われると「ああ、うん、まあ日本全国を都道府県で分けると一応そうだけど・・・」と、ちょっと煮え切らない感じになる。少し違和感があるのだ。なぜなら自分は神奈川の人ではなく厚木の人だと思っているから。だから、神奈川の人、と言われてもピンとこないのだ。

神奈川県の人、外に出る必要が無い問題

生まれも育ちも神奈川という人に言うと、鉄板で「・・・言われてみたらそうかも」と我に返るフレーズがある。それがこれだ。

「神奈川県って、異国情緒のある港町の横浜、歴史ある鎌倉、工業地帯の川崎、海は湘南、山は箱根、横須賀と厚木に米軍や自衛隊まであって、一つの県でなんでもそろってるんだよね」

ものすごく自慢に聞こえるだろうが、ただ、これは実は自慢ではない。その証拠に、神奈川全体を称してこんな自慢をする神奈川県民はそうそういないと思う(「横浜都会だし、東京より程よくのどかだからいい」ぐらいはあるが)。こんなあからさまに県アピールのお手本みたいなことを言うのは、その手の人しかいない。これは、以前のTV番組でその当時の神奈川県知事だった松沢成文さんが言っていた言葉だ。

当時の僕もそうだったが、神奈川県民はだいたいこのフレーズにちょっとびっくりする(さすがに超ビックリはしないw)。だいたい気づいてないのだ、この事実に。

「え・・・あ、そういえばそうだね」

だいたいこう思う。

なぜか。

神奈川県民という人は自県意識が低いとは前述だが、つまり各市区町村のアイデンティティーが強い。そして、今度は逆に松沢元知事の言う通り神奈川県内でだいたいのものはそろってしまうので、とくに学生時分まではよほどの用か、大都会東京への憧れ以外で神奈川県を出ることが無い。海に行きたいと思えば湘南に行き、寺社巡りをしたいと思えば鎌倉に行く。言わずもがな、ショッピングをしたければ横浜界隈にいくらでもあるし、川崎市民ならば川崎にもラゾーナやらなんやらといくらでも場所がある。

おそらく埼玉や千葉の人は池袋や都心に出てくる人が多いのだろうと思う(千葉や柏、大宮もじゅうぶんショッピングを楽しめる場所だが)。神奈川県民にはそれがないのだ。学生時分までであれば、日帰りの遊びも含めた生活圏がほとんど県内にとどまる。これがさらに自県意識を低くさせる。神奈川県民にとって遊びやショッピングに出かけるとなればそれはほぼ隣の市に行くことを意味する。そうなると、神奈川から出て、神奈川に戻ってくるという日常が存在しなくなる。感覚的に「神奈川県の外」というのがなくなるのだ。故に、神奈川県全域をみれば「横浜や鎌倉だけじゃなく、実は自然から都会までいろいろ揃っている」という意識が乏しいのだ。神奈川全域で考えたことが無いから。

神奈川県の人、世界が狭い問題・・・の本当のこと

これが、冒頭に書いた、そしてタイトルにもなっている「神奈川県の人、世界が狭い」だ。誤解しないでほしいのは、僕は神奈川県民がみんな価値観が狭い、視野が狭い、遠出をしないと言っているわけではない。当たり前のように神奈川にいながら旅行ばかり行っている人もいる。そうじゃなくて、視野や価値観とは別に「(広めに捉えた)生活圏」が県内にとどまっている人が多い、ということが言いたいのだ。

ただ、事実として神奈川県の人は地域の捉える対象が市区町村になっており、それはそもそもとして他県を見ていないというのは間違いないと思う。生活圏が県内にとどまっているからこそ、神奈川県内で骨肉の争い(言い過ぎ)が起きるのである。要するに戦国時代の日本みたいなもので、目が外に向いていない。自分を日本人だと思っていない。尾張の人だと思っているわけだ。それと同じことが、神奈川で起きていると思ってもらえばわかりやすい。ただもちろん、ときは現代であり、本当に視野が狭い人ばかりだということではないことを念を押しておきたい。ただ単に、戦国時代同様に「日本」つまり「神奈川」という自県意識が低いだけなのだ。

故に神奈川県民、そんなに神奈川が好きなわけではない問題

そう、実は、そうなのである。たぶん、自身の住んでいる市区町村は好きなのだろうが、それほど「神奈川」に愛着は無い。

かんどーさんがこう書いていた。

1人目のときは、この人が特別なんだろうと思っていたが、どうやら違う。わたしは千葉寄りの東京に住んでいるのに、葛西臨海公園やディズニーランドに行こうとは一度も言わず、デートは絶対に神奈川だった。クリスマスは赤レンガ倉庫のあるなんとかという駅でデートして、ふつうのデートでは中華街に行く。

...正直、遠かった。2時間かかる。わたしは神奈川にそこまでの執着はないので、普通に池袋とかにしてくれないものかと何度か頼んだ。

...彼らは、言えば池袋デートにも応じてくれるのだが、神奈川のときと比べてテンションが低いw 

これは、(平均値で言うなら)神奈川が好きだからじゃない。こうなってしまうのはたぶん神奈川しか知らないからだ。男女の関係性で言えば、基本的には男性がリードする場面が多いとなれば、神奈川県民が通い慣れた地元神奈川に連れて行くのは自然な流れだ。というか多くはおそらくそこにしか連れて行けない(ってのは言い過ぎだけど)。

もちろん、他の地方と同じように自県にこだわり、押し付けるような人もいるだろうし、おそらく東京の人のそれより割合的には多いのだろうが、他の地方と比べて多いかというとそれはないと思う。なぜなら、前述の通りそもそも神奈川県の人だと思ってないぐらいの県民性だから。べつに神奈川を推したいわけじゃないのだ。

これも良く言われることだが「神奈川の人は神奈川から出ない(引っ越さない)よねw」という話も、これで説明がつく。神奈川から出たくないんじゃなくて「神奈川からわざわざ出る理由が無い」のだ。神奈川が大好きで、神奈川ラブで住んでいるわけじゃない。たまたまそこに生まれ育って、見渡したらとくに出る理由もないので出ないという人がほとんどだと思う。

そういう意味では、神奈川は家賃事情的には決して住みやすい場所ではない。都心に出ようと思うなら間違いなく埼玉や千葉の方が「通勤距離×家賃×駅からの距離」のパフォーマンスは良い。そしてたぶんそれが、神奈川に地方からの移住者が少ない理由でもあると思う。

神奈川県民あるある問題

ゆえに、良く言われるこれも間違いである。

「湘南の人は海が大好き」

いや、たとえばサーフィンが好きで湘南に移り住んできた人は海が好きなのだろう。しかし、自分のようにそこで生まれ育った茅ヶ崎市民や藤沢市民は、これが驚くほどに用が無いと海に行かない。そして漁師でも無ければ海に用など年に1度もない。生まれたときから海があるのが当たり前なので、わざわざ行こうとは思わない。むしろ、夏のあのお祭り状態やビーチでウェーイしている人がワンサカいるのは面倒くさいぐらいに思っている。134号が混むのは本当に困る。「せめて海に行くなら冬だよな」だと思ってるぐらい。

同様に「月曜から夜更かし」でぶっ飛ばしたくなるような横浜市民が出てくるが、あれは半分本当で半分は嘘だ。たしかに、横浜市民にああいう人が、神奈川の中においてとりわけ多いのは事実だが、ほとんどの人はああではない。「瀬谷区とか横浜駅からクソ遠いのに横浜住んでますとかワロスwww」っていうのも良く聞くが、あれは「瀬谷区」と言っても通じないから「横浜在住」と答えている人がほとんどのはずだ。

そういう意味では、神奈川県民というのは、実は他県民に対してさして推すものを持っていない人種だったりもする。いや、全国を見渡せば武器はいくらでも転がってるだろう。それこそ「みなとみらい」「鎌倉」「江の島」などいくらでもある。ただ、これが、推せないのだ。なぜなら、やっぱり自県意識が低いから。湘南の人間は「神奈川にはみなとみらいあるしwww」とは推せないのだ。あれは横浜市民のものであって、自分は外から遊びに行く人間だから。おそらくこれは横浜から湘南をみたときにも同じだろう。

「えー!神奈川いいじゃん!赤レンガ倉庫とかあるし!」

と言われると、お、おう、と言いながら

oO(でもあれ、横浜にあるやつだしなぁ。オレ、茅ヶ崎市民だしなぁ)

なんて、「隣のお宅の子供を褒められたような感覚」にしかならないのである。

そんな感覚だから、「埼玉と千葉、関東のNo3をかけた骨肉の争い」というやつも、実はピンと来ていない。埼玉と千葉の争いというのは、「本当はNo.2になりたいがそこは神奈川には負けるとして、しかしNo.3は間違いなく俺たちだ」という争いだと理解しているのだが、そういう人達に入ったときに神奈川県民はだいたい困る。「はぁ・・・」「ふぅん・・・」「そうだねぇ」みたいな反応をしていると、両県の人からこういわれる。

「安泰のNo.2だと思って余裕こきやがって!マジでムカつく!!」








いや、ちがう、そうじゃないんだよ。

神奈川県民はそもそも東京にすら負けていないと思っている。・・・というのも正確じゃなくて、「べつに神奈川は神奈川なんだからそれでいいじゃん」としか思ってない。そういう意味では「東京ほど都会ではなくて穏やかだし、かといって困るほどド田舎じゃないし、まあちょうどいいよね」ぐらいには思っている。でも、裏を返せばその程度の想いしかない

べつに都会ぶりや経済圏で東京に勝ってるなど全く思わないし、流行の発信地として渋谷や原宿と勝負できるとも思ってない。たぶんそんなの確実に負けているが、「そもそもべつにそんなところ負けてたっていいじゃん」ぐらいにしか思っていないのだ。言い方を変えれば「神奈川も住みやすくて好きだし、東京は楽しいし、どっちも好きです(本気)」と思っている。

だから、「お高くとまってんじゃねぇよ!」的な感じて熱く来られると、逆に神奈川県の人というのはそこまで神奈川に対して熱いものを持ってないので、「はぁ・・・」「そうっすか・・・」ぐらいしかなく、そしてみなとみらいや鎌倉を武器に戦う気もそれはそれでおきなくて、困ってしまう。繰返しになるが、神奈川県の人にとって地域の争いがあるとしたらそれは県内で、県外で起きていることはもはや外国で起きていることなのだ。だから、関東のNo1とかNo2とか言われても「そもそもオレ神奈川の人って感じじゃないしなぁ」と、なぜか神奈川県民全員がそうなるのである。

神奈川の人が神奈川を好きな率が他県に比べて高い気がする問題

というわけで、かんどーさんのいう↑これは、実はそうじゃなくて、好きでもこだわってるわけでもなく、そもそもの地域認識の世界が狭いだけの話なのですよ。そして、その割に(たとえば名古屋のように)全国区に向けて「俺は茅ヶ崎の人間だぜ!」というほどのバリューも持っていない。そりゃそうだ、だって対象が県内の人なのだから。

なんでしょうね、神奈川って変なところですよね。

だってもう、県名がもはや全国区じゃないもんw

====追記====

つづきを書いた。


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