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コラム

「企画の仕事がしたい」という奴に限って企画ができない。

「一般事務の仕事が合わなかった」なんて書いている増田(はてな匿名ダイアリー)が流れてきた。

なんというかこう、読んでいて悲しい気持ちになるというか、甘ったれんなというか、ちがうな、「そんなやつに課題解決の仕事なんかできるか」っていう矛盾に呆れてしまう感じか。

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私が一番感じる一般事務的業種のやなところって、お客さんの顔が見えないので役に立ってるという実感がないところだった。
自分はどっちかっていうと、フィールドワークとか資料を読んで、課題を見つけることが好きで、
そういうことが趣味だったところもあるんだけど、
この趣味を仕事にするとしたら大学教員ぐらいしかないわけで。

課題を見つける仕事が大学教員ぐらいしかないって、視野狭窄もここに極まれりと思ったが、それよりなにより、まず課題を見つけるということがどういうことなのかまるでわかってない

「課題を見つける」ということは、基本的にはこれはそこで終わる仕事などなく、解決策を考えるところまでがセットだろう。課題だけ見つけられたって困るし(そういう仕事が無いとは言わないが)、課題なんてものは表面的なものなら誰だって見つけられる。

「お前がモテないのは太ってるからだ。太ってることが課題だ」

なんてのは本人だけじゃなくまわりですら言われんでもわかっていることで、本当に「課題を見つける」というのは、「太っている」という「事象」がなぜ起きているのか、どういう行動メカニズムで、環境で起きているのかを突き止めることにある。それは深夜残業後の食事が問題なのか、決まった時間に食事を取らず、思いついたときに断続的に食べ物を摂取していることが問題なのか、きっとそれは個体別にあるのだろう。

この原因に対して、それが起きるを防ぐ、改善しなければならない部分を定義することが「課題を見つける」ということだ。「あなたは夕食を遅い時間に取ってしまうことが課題だ」と定義することこそが「課題を見つける」という行為にあたる(これとて浅くて、もっと深い分析と定義が必要かもしれない)。

「課題を見つける」というのは、つまりその物事の本質を捉え、目的を定義し、その目的達成の阻害要因となってる部分を見極めることを指し、そしてそれを解決する施策を考えることまでセットになると、これを「企画」という。企画というのはつまり課題解決、問題解決なのだ。

そしてこの企画というのは、基本的には新人には渡されない仕事であることが多い。それは当たり前だ。企画をするからには、その業界、その分野、その市場のことがわかり、そこに起きている事象を知っていて、そこから本当の問題を特定する能力を持ち、さらにその問題を解決するアイディアを持っていなければならず、当然そんな能力は新人にはない。

これを「企画の仕事がしたいので転職活動をしている」という人の大半がわかっていない。いままで企画の仕事をしてこなかった奴に、なぜ新しい会社が企画を任せるのか。そんな高度な分析力と思考力が必要なポストを任せると思うのか。バカだとしか言いようがない。

そして、これがこの話の最も愚かで、おかしい話だ。

「企画の仕事がしたい」というなら、なぜ「未経験の自分が企画の仕事に就ける企画」を立てないのだ。馬鹿の一つ覚えのように「私は企画の仕事がしたいので応募しました」なんてやつに企画ができるはずがない。現にいま、できていないのだから。そんなに企画がしたいのなら、プライベートで企画書でも書けばいいだろうに。

「企画の仕事は新人には任されない」と書いたが、それは仕事の話で「企画が必要とされているところ」は世の中のどこにでも転がってる。企画とは問題解決なのだから、言い換えれば問題のあるところには企画が必要とされているのだ。友達の恋愛相談だって企画だし、ダイエットだって企画だし、飲み会を盛り上げるのだってもちろん企画だ。

企画の仕事がしたいが、現職ではその要素がまるでないというのなら、企画ができる職に転職したいというのなら、プライベートを使って企画を立て、問題解決に動いてみれば良い。それが本当に成果が出たのなら、多くの企業があなたを求めるはずだ。なぜなら、この日本で一番求められる人材は「問題解決ができる人」だからだ。

そして、増田の矛盾もここにある。

私が一番感じる一般事務的業種のやなところって、お客さんの顔が見えないので役に立ってるという実感がないところだった。
自分はどっちかっていうと、フィールドワークとか資料を読んで、課題を見つけることが好きで、
そういうことが趣味だったところもあるんだけど、
この趣味を仕事にするとしたら大学教員ぐらいしかないわけで。

なぜ事務職に課題が無いと決めつける。

その時点で、増田に課題を見つける能力などあるはずもない。あるとしたらそれは「注意してみればどこの誰でも見つけられるアホみたいな指摘」ぐらいのものでしかない。

というよりむしろ、クリエイティブやマーケティングの部署ではない事務職ほど課題が転がっている部署もない。そういう人材が来ないからだ。そんなところでも課題が見つけられない時点で、そんな能力など推して知るべしというところだろう。

「データ入力がつまんなすぎてダメだった」

なんて言ってる時点アウトなんだよ。データ入力にだって、その仕事にだって必ず課題や問題はある。なぜなら、課題や問題というのは目的次第だからだ。「恋人ができない」という課題は、恋人を求めるからできるのだ。一人で良いと思っていたら、それは課題ではなくなる。

企業の話にうつしてもいい。売り上げ1億の会社が「売り上げ10億になりたい」と思うから、そこに課題や問題がうまれるのだ。その目的や目標が無く、いつ倒産しても良いというならば課題など存在しない。

ということは、言い換えればそれは目的や目標設定次第で、データ入力の仕事、事務の仕事にだっていくらでも課題は見出せるはずなのだ。

その場で何かを改善し、より良い状態にしようという意識が無いから、課題が見つけられず、データ入力がつまんないなどという寝ぼけた発言が出てくる。データ入力をもっと早く、さらには自分以外の人まで早く、さらにいえば「データ入力の必要がなくなる」ことすら、問題解決であり、そのアイデアは企画そのものだろう。

「私は企画の仕事がしたかった」「課題を見つける仕事がしたかった」なんて口でいう奴に限って、そんな能力はないんだよね。

だって、あればもうその仕事に就いているから。




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