センターサークルのその向こう-サッカー小説-

パブーでまとめ読み
  1. HOME
  2. 連載作品
  3. 「一般小説」アーカイブ

「一般小説」アーカイブ

じゃあ、何かあったら連絡ください、と言ってその打ち合わせを終えた。業務に戻れば、僕も薮田も斎藤も、普段と何ら変わりない日常だった。甘ったれた斎藤は今日も薮田に怒られて、それでもニコニコしながらPCに向かっている。武田さんはいつもどおり自分だけコーヒーを入れて、黙々と仕事をしているし、薮田はやっぱりいつもどおり忙しそうだ。まあ、周りに言わせれば僕が一番忙しそうにしているらしいが。
そんな日常的な光景のおかげで、僕も仕事に集中できた。チームのリソース管理、スケジュール把握、それぞれの機能のステータス管理とテスト要員のアサインと、やることはいくらでもある。仕事が大好きということではないが嫌いでもない。こういう時は集中させてくれる良い薬にもなる。
 
「牧村」
 
振り返ると、木ノ原部長がいた。
――どうしてそんなことになったのか、今でもわからない。僕が、あんな大きなものを操縦することになるなんて。平和であることは確かに大事な事だけど・・・。
 
 
「ちっ」
今日もまた、だ。
この人は毎朝毎朝飽きもせずに周囲とちょっとぶつかるだけで不機嫌な顔をする。そして小さく声を出す。そんなことをしても自分も含め誰も幸せにはならないだろうに。